どうも、あぎとろです。
今回はRazerから2020年10月7日より日本で発売されている有線・ゲーミングヘッドセット「Razer BlackShark V2」のレビューをしていきたいと思います。
- ファーストインプレッション
- パッケージと内容物
- セットアップ
- 性能と使用感
- Razer Synapse 3
- 音質
- NVIDIA ShadowPlayの問題
- ApexLegendsでTHX Spatial Audioを使ってみた
- 総評
ファーストインプレッション
Razer BlackShark V2はPC向けに特化したUSB サウンドカード付属のゲーミングヘッドセットです。
音質はクリアでフラット傾向。これまでのRazerのヘッドセットの低音よりの傾向とはうって変わってFPS等の競技性の高いゲームで有効とされる音質傾向にチューニングされています。
重量は約262g(マイク含む)とゲーミングヘッドセットとしてはかなり軽量な部類です。ヘッドバンドのクッションやイヤーパッドに採用されているメモリーフォームのメッシュ素材は肌触りが良く柔らかい為、付け心地がかなり良いです。
付属するUSBサウンドカードを介して接続することによって、Razer Synapse 3によるヘッドフォン・マイクのミキシング、プロファイル保存・切り替え機能、Razer独自のTHX Spatial Audioによるゲームに最適化されたデジタルサラウンドを利用することが出来ます。
残念ながらPS5・PS4、Nintendo Switch、XBOX等の家庭用ゲーム機ではRazer Synapse 3を利用出来ないため、殆どの機能が制限されてしまいます。そのため、家庭用ゲーム機では若干本体のスペックも変わってしまいますが、USBサウンドカードが付属していないBlackShark V2 Xのほうがコストパフォーマンスが良いです。
商品仕様とスペック
製品名 | BlackShark V2 |
メーカー・ブランド | Razer |
製品種別 | ヘッドセット |
カラー(コーティング) | ブラック |
ヘッドフォン - 周波数特性 | 12 Hz ~ 28 KHz |
ヘッドフォン - インピーダンス | 32 Ω @ 1 KHz |
ヘッドフォン - 感度(1 KHz) | 100 dBSPL / mW、1 KHz |
ヘッドフォン - ドライバーー | Razer™ TriForce チタン 50mm ドライバー |
ヘッドフォン - イヤーカップ内径 | 65 x 40 mm / 2.56in x 1.57in |
ヘッドフォン - ケーブル | Razer™ SpeedFlex ケーブル、1.8m / 5.91ft. |
ヘッドフォン - 概算重量 | 262g |
ヘッドフォン - 楕円形イヤークッション | 通気性に優れたメモリーフォームクッション |
ヘッドフォン - イヤーカップ上のコントロール機能 | 音量調節、マイクミュートの切り替え |
マイク - 周波数特性 | 100 Hz ~ 10 KHz |
マイク - S/N比 | 60 dB |
マイク - 感度(1 KHz) | -42 dB V/Pa、1 KHz |
マイク - 集音パターン | 単一指向性 |
ソフトウェア | Razer Synapse 3 |
サウンドカード | Razer USB サウンドカード |
接続方式 | 3.5mm 端子 + USB サウンドカード |
保証 | 2年間 |
発売日 | 2020年10月7日 |
価格(2021年5月25日Amazon価格) | 12,980円 |
パッケージと内容物
パッケージ
パッケージのデザインはいつものRazerという感じです。
開封してみると、少し気合が入ってるのが分かります。Razer製品がこんな丁寧に梱包されてることあった?
内容物
- BlackShark V2本体
- 取り外し可能なカーディオイドマイク
- Razer USB サウンドカード
- キャリングポーチ
- 取扱説明書、カタログ、ステッカー
付属品
キャリングポーチ
結構作りはチープで強く引っ張ったら千切れそうな感じです。持ち運んだり保管する時に入れておく分には問題ないと思います。
Razer カーディオイドマイク
クリアでヘッドセットのマイクとしては音質が良い方です。
音の良さに拘らないし、歌を収録するのではないのであればこれで十分という感じ。
使わない時は簡単に取り外し可能です。より音質が良いコンデンサーマイク等を利用している場合は、取り外してマイク分の重量を軽減出来るので、個人的には収納できるタイプより好きです。
Razer USB サウンドカード
USBサウンドカードが付属しています。
このサウンドカードを介して接続することによってRazer Synapse 3による機能サポートや、THX Spatial Audioを利用することが出来ます。
3.5mmジャックでイヤホンを接続し、PCのUSBに接続することになります。
セットアップ
PCに接続する場合は、Razer Synapse 3をダウンロードしてください。
BlackShark V2本体の3.5mm端子を、付属のRazer USB サウンドカードにある3.5mmジャックに差し込み、USBで接続すれば準備完了です。
性能と使用感
外観
シックだがRazer製品であるという主張も忘れない感じで、僕は好きなデザインです。
左側のハウジングに機能が集約されていて、本体側で出来る操作もシンプルなので、迷いが発生しないのが良いです。
ヘッドバンド
素材はサラサラしたPUレザー。手触りがよく、エッジはステッチ加工されているので、耐久性的にもデザイン的にもかなり良いです。
主張しすぎない程度にRazerロゴが刻印されていて所有欲を満たしてくれます。
イヤーパッドより弾力があるメッシュ素材のクッションが配置されています。かなり良い調整でヘッドセット全体の重量をふんわり分散してくれるので、長時間装着していても、頭頂部が痛くなったり蒸れたりことはありません。
スライダー
細い金属の棒。軽量化の為とはいえなんとかならなかったんでしょうか。無段階調節で目盛りなどが付いていないので、自分の位置を保存することが出来ないです。
構造的にも耐久性があるとは思えないので、取り扱いはかなり注意したほうが良い。ケツで踏みつけたら終わりだと思ったほうが良い。
また、Amazonのレビュー等で見かけたのはスライダーの摩擦が無くなって調節機能を失うというものもあったので、おそらく中に筒状のラバー素材が入っていて、頻繁に伸び縮みさせているとそれが摩擦によって削れてしまうのかなと想像出来ます。必要以上に調節機能を利用しないほうが良いかもしれません。そもそも頭の形は変わらないのであまり触る必要がない機能ではあるので対処は可能です。
丁寧に扱っていればそう簡単には壊れはしないとは思いますが、他製品と比べて明らかに耐久性や調節機能では劣っている部分だと思います。
ハウジング
プラ素材ですがマットなカラーリングで落ち着いた印象を受けます。きちんとRazerのテーマカラーの緑もアクセントで入っていて良いデザインだと思います。
左側のハウジングに全ての機能が集約されていて、ボリューム調節ノブ、マイクジャック、マイクミュートボタンが配置されています。
ボリューム調節ノブは中間位置が感触で分かるようになっています。
マイクミュートボタンは押し込まれているとマイクミュートがONで、飛び出しているとOFFの状態です。
イヤーパッド
メッシュになっていて、かなり柔らかく蒸れにくい素材になっています。肌触りも良く、眼鏡越しに装着していても全く違和感はありません。
メモリーフォームクッションになっていて、1ヶ月ほど使いましたがヘタったりはしていません。
側圧を打ち消してくれてホールド感が薄いので優秀なイヤーパッドです。
ただ、メッシュ素材なので遮音性は少し低いです。
ケーブル
細くて滑りやすい素材で出来ているので、タッチノイズも少なく取り回しやすいです。
ただ、本体から取り外しは不可能なタイプなので、断線した時にケーブルだけを交換するなどは出来ません。断線には注意しましょう。
重量測定
マイク装着時の重量は公式では262g。実測値は264.57g。
スライダーの軽量化が功を奏して、ヘッドセットとしてもヘッドホンとしても軽量な部類です。
取り外し可能なカーディオイドマイクの重量は10.87gとなっています。
ビルドクオリティ
全体的に見てビルドクオリティは高いです。プラ素材メインですが安っぽくは見えず、所有欲は満たしてくれます。
しかし、局所的に見ればやはりスライダー部分の機構はどう見ても脆弱に見えます。取り扱いには注意した方が良いでしょう。
Razer Synapse 3
特徴の一つであるTHX Spatial Audioやミキサー、マイク調節もここから利用出来ます。
付属の"Razer USB サウンドカード"を介してPCと接続することで利用可能です。3.5mm接続の場合や、その他のUSB DACを介して接続している場合は利用できないので注意しましょう。
ダッシュボード
PCに接続されているRazer製品をSynapse 3が認識しているとここに表示されます。
見ての通り、ヘッドセットではなくUSB サウンドカードとして認識されているので、Synapse 3で設定した各種機能はUSB サウンドカードを介してPCに接続した時にしか影響を受けられません。
サウンド
ここでは音量を設定することが出来ます。プロファイルごとに設定できるので活用しましょう。
ミキサー
ここでは主にTHX Spatial AudioのON・OFFと各プログラムごとに適応するサラウンドの設定が出来ます。
THXの種類はゲームモード・音楽モード・映画モード・THX 競技モード・THX 環境モードが用意されており、ApexLegendsのような特定のアプリケーションにはTHX 競技モードとTHX 環境モードを選択することが出来ます。
また、ゲームモード・音楽モード・映画モードそれぞれの定位を設定することが出来ます。
もちろん、ステレオも用意されており、アプリケーションごとにステレオが良いならステレオを設定しておけばOK。
強化
ここでは低音ブースト、音の正規化、音声の明瞭度、オーディオイコライザーを設定することが出来ます。
低音ブースト:低音が強調されます。
音の正規化:低・中・高音を全体的に強調してくれます。
音の明瞭度:中・高音を強調し、聴き取りやすい音になります。
この中で使うのは"音の正規化"くらいですかね。全体的にブーストしてくれるので音量が足りない時は試してみるくらいでいいでしょう。
オーディオイコライザーはプリセットでデフォルト・ゲーム・映画・音楽と用意されていますが、カスタムに自分なりのステータスを保存することも出来ます。
マイク
ここでは、マイクの設定が行えます。
音量、ブースト、ゲートといった基本的な設定から、周辺音の遮断にチェックを入れることで、ノイズキャンセリングも利用することが出来ます。ただ、ノイズキャンセリングに関してはイマイチ。声が聞き取りづらくなってしまうので注意です。
サイドトーンはほぼリアルタイムで声が返ってくるので、使用感は良好でした。
プロファイル
ゲームとプロファイルをリンクし、ゲームが起動したときにプロファイルを自動で切り替えるようにすることが出来ます。
音質
音質傾向
フラット、僅かにドンシャリ。
FPSではフラット寄りの方が銃声や足音が聞き取りやすいです。
ゲームによって必要な音域が変わるので、その部分はイコライザーで調節しましょう。
解像度
同価格帯(10,000〜15,000円)のエントリークラス~ミドルクラスのオーディオメーカーが出すイヤホン・ヘッドホンと比較すると、そこまで高くない印象です。
ゲーム用として、マイク、USBサウンドカード、ボリュームコントロール、マイクミュートボタンの機能が付随する事を考慮すると仕方がない事です。
ただし、FPSゲームで必要な分は十分に確保出来ていて、分離感も有るため、細かい音も聴き分けられます。
NVIDIA ShadowPlayの問題
Windowsのサウンド設定→出力デバイスを「THX Spatial Audio」を選択していると、NVIDIA ShadowPlayによって録画された動画にデスクトップ音声(ゲーム音やVC)が収録されない問題は解決可能です。この問題は商品購入のボトルネックになる可能性があるので、当ブログのレビューでも解決方法について記載しておきます。
Windowsのスタートから、"設定"→"システム"→"サウンド"を開きます。もしくは、タスクバーにあるスピーカーアイコンを右クリック→"サウンドの設定を開く"をクリックします。
- 出力でTHX Spatial Audioが選択されていることを確認してください。
- サウンドの詳細オプションからアプリの音量とデバイスの設定をクリックしてください。
- 出力がTHX Spatial Audioが選択されていることを確認してください。
- NVIDIA Containerの出力がRazer USB SoundCardが選択してください。
NVIDIA Containerの設定項目を表示させるには、GeForceExperienceでインスタントリプレイもしくは録画を開始している必要があります。
これで録画した音声にもゲーム音が収録されるようになるはずです。
ApexLegendsでTHX Spatial Audioを使ってみた
他のデジタルサラウンドと比べて残響感が少なく、自然に聴こえます。
定位も良く、距離まで分かります。ただし、音のみで上下を聴き分けることは難しいです。
あくまで、そのマップの細かな情報の記憶を元に判断できるという感じです。
音とは情報です。なので、基本的にプレイヤーは聞いたことのある音とマップの記憶を元に脳内で演算して、敵の位置を割り出します。
もともとステレオでの定位が良いので、ステレオでのゲームに慣れ切ってしまっている人からすると、ステレオの方が聞き取りやすく感じる可能性があります。
また、ゲームにある程度慣れていないと、情報量が多過ぎて混乱してしまうかもしれません。
そういった点から万人に勧められるものでは無いですが、物として悪いものでは無いです。
僕はその他デジタルサラウンドと比べて、十分実用レベルに達していると評価します。
総評
総評
PCに付属のUSB サウンドカードを使用して接続する事によって真価を発揮するとても優れたゲーミングヘッドセットです。
音質傾向はFPS等の競技性の高いゲームで重要な音を聞き逃さないクリアでフラット。
本体がヘッドセットとしては軽量で、ヘッドバンドのクッションとイヤーパッドがメッシュ素材のメモリーフォームになっているので蒸れにくく着け心地が非常に良い上に、形崩れもしないです。眼鏡のユーザーもPUレザーと比較すると気になり難い点もポイントが高いです。
Razer Synapse 3との連携も良いです。ヘッドフォン・マイク共に、イコライザーはもちろん、特定の音域のブーストが可能で、特にマイクのサイドトーンも殆どリアルタイムで利用可能なのは必要としている人からすると評価が高いのではないでしょうか。
THX Spatial Audioも完璧とは言えませんが、慣れが必要ですがとても完成度が高く十分実用出来ます。
マイクの"周辺音の遮断"は完成度が低くほとんど使い物にはならず、これを利用するくらいならDiscordのKrispやNVIDIA Broadcastを利用した方が良いです。せめて強弱くらい調節させて欲しかった。特定の音域をカットしているだけってのは少しお粗末。
また、スライダーの調節機構が脆弱で耐久性に不安あり、取り扱いには注意したほうが良さそうです。
総合的に見て、PCでFPSをプレイする場合、性能・コストパフォーマンスの面ではかなり良好なゲーミングヘッドセットです。
良いところ
- 軽量、着け心地抜群
- FPS向けのフラットでクリアな音
- ヘッドセットとしては音質の良いマイク
- THX Spatial Audioによる最適化されたバーチャルサラウンドは実用レベル
- Synapse 3でヘッドフォンもマイクもカスタマイズできる
- USB サウンドカードが付属するため、USB DACを購入する必要が無い
悪いところ
- 機能の殆どがPCユーザー向け
- スライダーの調節機能の耐久性が心配
- Synapse 3のマイク周辺音遮断はほとんど使い物にならない