どうも、あぎとろです。
今回はGIGABYTEから2020年6月下旬より日本で発売されている湾曲ディスプレイ搭載ゲーミングモニター「GIGABYTE G27QC」のレビューをしていきたいと思います。
ファーストインプレッション
GIGABYTE G27QCは2560 x 1440(WQHD)の解像度を持つ27インチ湾曲モニターです。発色ではIPSパネルに劣るものの、低価格でコントラスト比が優秀なVAパネルが採用されており、湾曲パネルで165Hzの応答速度1msに対応していながらミドルクラスの価格帯を実現しています。
ゲーミングモニターということで、パネル表面は光の反射が抑えられた視認性の良いノングレアが採用されています。
また、ゲーム向けの機能が複数搭載されており、FPS等の競技性の高いゲームで優位性を得ることが出来るようです。
前提としてですが、僕は現役で「BenQ ZOWIE XL2546」という24インチの競技向けに特化した、240Hz対応の優秀な黒色挿入機能を搭載したゲーミングモニターを使用しています。
基本的にXL2546との比較にはなりますが、このモニターを1枚目に選ぶ場合にも参考になるように書こうと思います。
商品仕様とスペック
製品名 | G27QC |
メーカー・ブランド | GIGABYTE |
パネルサイズ | 27インチ VA 1500R |
ディスプレイの表示領域 | 596.74 x 335.66mm |
パネルバックライト | エッジタイプ |
ディスプレイの表面 | ノングレア |
カラーサテュレーション | 92% DCI-P3 / 120% sRGB |
解像度 | 2560 x 1440(WQHD) |
ピクセルピッチ | 0.2331 * 0.2331 |
輝度 | 250 cd/m2(TYP) |
コントラストレート | 3000:1 |
ダイナミックコントラストレート | 12M:1 |
視野角 | 178°(H) / 178°(V) |
ディスプレイカラー | 8 bit |
応答速度 | 1ms(MPRT) |
リフレッシュレート | 165Hz |
HDR | HDR Ready |
フリッカーフリー | ○ |
入力 | HDMI 2.0 x 2、DP 1.2 x 1(HDR対応) |
出力 | イヤホンジャック |
スピーカー | ○ / 2W x 2 |
USBポート | USB 3.0 x 2 |
消費電力 | 70W |
マウント規格 | VESA 100 * 100mm |
チルト角度 | -5°~+20° |
高さ調節 | 130mm |
筐体サイズ(スタンド込み) | W610.3*H531*D203 |
筐体サイズ(スタンド無し) | W610.3*H367.4*D84.5 |
梱包サイズ | W700*H481*D248 |
本体重量 | 6.4kg |
総重量 | 8.9kg |
発売日 | 2020年6月下旬 |
保証 | 2年間 |
価格(2021年7月20日Amazon調べ) | 43,800円 |
パッケージ
梱包サイズは「W700*H481*D248」、重量は「8.9kg」。
内蓋には開梱・組み立ての方法が図解されています。
パッケージングが良く出来ていて、スペースさえあれば力がなくても問題なく一人で開梱出来ると思います。
内容物
G27QC本体(脚付き)
モニターには最初から脚の支柱パーツが取り付けられた状態で入っています。
脚の台座部分はこんな感じです。
ケーブル類
Owerケーブル/HDMIケーブル/DPケーブル/USBケーブル/取扱説明書/保証書
セットアップ
爪をひっかけてネジを締めるだけで固定できます。だいたいこの方式ですよね。
モニターと脚の間に緩衝材が挟まっています。
また、図を観てもらえれば分かる通り、モニターの上下調節機能をロックするためのプラスチックのパーツが入っています。
持ち上げるときに誤動作しないように、デスクへ設置してから取り外すことをお勧めします。
外観と性能
外観
大きさはスタンド込みで「W610.3*H531*D203」です。
1500R VA ノングレアの湾曲パネルが採用されています。湾曲パネルなので横から見ると平面パネルと比較して少し奥行きが広いのが分かります。
1500R ・・・ Rは半径。1500Rは半径1500ミリメートルの湾曲を表す。
VAパネル ・・・ 視野角が狭いデメリットがあるが、コンストラストが優秀で安価。
ノングレア ・・・ 外光が反射して画面が見にくくなることを防止する処理。
調整機能
チルト角度は「-5°~+20°」
高さ調節は「130mm」
左右の首振り機能は無しです。
入・出力端子
左から、電源端子、HDMI 2.0 x 2、DP 1.2 x 1(HDR対応)、イヤホンジャック、USB3.0 x 2、USB3.0 TypeB
入力端子も豊富で困ることはないでしょう。HDRに対応しているのはDP入力のみです。
操作系統
電源ボタンも無く、スティックのみで完結しています。
押し込み、上下左右の入力ができます。
画面サイズ・解像度
WQHDの解像度を持つパネルとしては標準的な27インチとなっています。
作業やシングルでもデュアルディスプレイでも27インチあれば必要十分かつ、邪魔にならない大きさで丁度よいと思います。
ゲーム用途では、プレイするゲームにも左右されますが、概ね快適です。
特にRPGやシングルプレイのアクションゲームでは解像度も高く美しいグラフィックと画面の大きさによる満足感が高いです。
マルチプレイの競技性が高いゲーム、特にApexLegends等のFPSゲームでは、個人的には24インチのほうがプレイしやすいと感じました。
画面内のHUDをすべて視野に収めつつ、できるだけ目と画面の距離を近づけたいので、27インチだと1番目の条件を満たそうとすると画面が遠すぎるように感じてしまうからです。
画面解像度の恩恵を受けるためには1440p(WQHD)での出力に耐えうるスペックのPCもしくはゲーム機を用意する必要があるのは注意が必要です。
ちなみにPS5では1440pでの出力には対応していないため、1080p(FHD)からのアップスケールで表示されてしまいます。
上記の理由からPS5用のモニターとしては適さないです。
パネル・視野角
VAパネルのモニターは初体験だったのですが、色味も悪くないし左右の視野角も思ったほど狭くないので気に入りました。
色味に関しては
左右の視野角に関しては湾曲パネルだから気になりにくい可能性が高いです。
また、上下の視野角は狭いので少し注意が必要です。
輝度
スペックを見ても分かる通り輝度は低めですが、ゲーム用機能であるエイムスタビライザー機能をオンにしない限りは画面の明るさで困ることは無いです。
リフレッシュレート
165Hzと非常に高いリフレッシュレートに対応していて、動きの激しいゲームでも高い対応力を発揮してくれます。
60Hzと比較すると明確に差を感じるが、120Hzや144Hzと比較した場合体感の効果では薄く感じます。
応答速度
MPRTで1msなので非常に優秀です。
MPRT ・・・ Moving Picture Response Timeの略称で実際にモニター上で動画などの映像を動かしてカメラで撮影し、動画の残像を計測したもののこと。データ上の数値ではなく実際に計測した数値であるため、よく表記されるGTGよりも信頼できる。数値が小さい方がより遅延が少なく残像感が少なくなる。
GTG ・・・ Gtay to Grayの略称で、中間階調応答速度のことを示す。ある色からある色の中間色までが移り変わる速度を表す。数値が小さい方がより遅延が少なく残像感が少なくなる。
ゲーム用の機能
特に目立った機能について触れていきます。
エイムスタビライザー
「黒色挿入機能」というフレーム間に黒色を挿入することによって映像の残像感を低減する技術が用いられている機能です。
僕が現役でFPS用モニターとして使用しているZOWIE XL2546にもDyACとして搭載されている、一定以上のグレードのゲーミングモニターに搭載されている定番の機能です。
率直に言うと、僕の場合はかえって残像感が増したように感じました。
原因はなにか断言することは出来ませんが、僕の推測ではVAパネルでは黒のコントラストがきつく、黒から他の色に遷移する色の立ち上がりが遅く、結果的に残像感が増しているのでは?と考えています。
更に、輝度の調節が不可能になり、元々の輝度が低めなのもあって、画面がかなり暗くなってしまいます。
ゲーム内で明るさを上げてみても、根本的な解決には繋がらず、僕がG27QCでゲームをするときは基本的にエイムスタビライザー機能はOFFの状態で運用しています。
もし、この機能に魅力を感じてこの機種の購入を考えているなら、やめておいたほうが無難でしょう。
クロスヘア
最初の1週間くらいはサイドキックが使えて、PC上でクロスヘアをペイントソフトの要領で色やドットをカスタムできたので使い勝手には満足していました。
デフォルトで登録されているクロスヘアが使い勝手が良くないものなので、サイドキックが使えなくなってからは編集できなくなったので使い物にならないです。
(どうにかならないか試行錯誤した結果、モニターやソフトウェアを初期化したので編集して保存していたものはデフォルトに戻っています。)
ブラックイコライザー
黒色部分を明るくして視認性を上げてくれる機能です。
暗い場面での勝率を上げてくれますが、画面が少し明るくなるので数値の上げすぎには注意が必要です。
ソフトウェア"OSD Sidekick"
現在使用不可能。
最初の1週間くらいは普通に使えていたが、突然認識しなくなり、ソフトウェアのダウングレード等、出来ることを色々試してみた結果、ソフト自体は動くがG27QCに設定が反映されません。
使えていたうちは動作は重いものの、視覚的に確認しながらマウスで設定が変更出来たので便利でした。
また、ゲーム用の機能の内「クロスヘア」に用いるクロスヘアの編集はSidekickからしか出来ない為、実質使用不可能な機能になってしまいました。
FPS中級者以上には必要ないものかもしれませんが、腰だめ時にドットが表示されないゲームや、クロスヘアの色や大きさを調節出来ないゲームでは、それなりに優位性を感じていたので残念です。
各用途での感想
普段遣い・作業(ブログ執筆、画像編集、ファイル移動)
映像鑑賞(映画、アニメ、Youtube)
ゲーム(RPG、シングルアクションゲーム、e-Sports)
PCゲームでは1440p解像度対応のゲームが多く、殆どのゲームで恩恵を受けることが出来ます。
RPGやシングルアクションゲームでは、映像も綺麗でリフレッシュレートも高さの恩恵も受けられるので、快適にゲームプレイを楽しむことが出来ます。
一部インディーズゲーム等ではムービーのみFHD品質だったりするとガビガビになることもありましたが、そもそもFHD出力でも問題なく運用出来るのでそこらへんはゲームごとに調整すればいいのかなと思います。
e-Sports系の競技性の高いゲームでは、映像の綺麗さよりもリフレッシュレートや応答速度、ブラックイコライザー機能の優秀さが際立ちます。
残像感も素の状態で十分優秀で、素早く動く敵の視認性も良いです。
27インチと大型のモニターで解像度も高いので、純粋に遠くが大きく綺麗に写るので、敵を視認しやすいというメリットもあります。
ただし、WQHD出力で165Hzを維持するとなればそれなりのマシンパワーを要求される点は注意が必要です。
筆者のPCはi9-9900K、RTX2080Ti搭載のそれなりPCなのでApexではテクスチャ以外低設定で165Hz張り付きでした。(視認性の問題でエフェクト系は低にするタイプ)
エイムスタビライザー機能に関してはソフトウェアの項目でも記載した通り、実用出来るレベルではありませんでした。ZOWIE XLシリーズのDyAcと比較するとまるで別物です。
ブラックイコライザーは暗い部分の視認性を上げてくれる機能なのですが、これは使えます。ただ、今どき大体のゲーミングモニターに搭載されている機能なのでG27QCのみのストロングポイントだとは感じませんでした。
総評
まず結論から言うと、G27QCはFPSゲームにおいても基本性能では文句なしです。しかし、ゲーム向け機能の幾つかが理想とは違ったものでした。
画面内にカスタムしたレティクル(照準)を表示する機能や、画面の残像を少なくするエイムスタビライザー機能は個人的には使い物にならないレベルのものでした。
特にソフトウェアを通してしか利用出来ないレティクルのカスタム機能に関しては、管理ソフトウェアであるサイドキック自体が使用不可能な状態で、GIGABYTE側も対応するつもりがないのか、1年近くアップデートがされていません。
ソフトウェアのトラブルもあり納得行かない部分も確かにありますが、モニターとしての仕様にはあまり影響がないのが救いです。
競技性の高いFPSをプレイする場面でも、リフレッシュレート165Hz・応答速度1ms・FreeSync(G-Sync Compatible)・ブラックイコライザーとプレイングに対して有利に働く機能が搭載されていますし、27インチWQHD解像度VA湾曲パネル採用で画質や視認性にも優れており、RPGやアクションゲーム、映像鑑賞、作業や普段遣いの場面でも活躍する、非常に優秀なゲーミングモニターです。
僕は「ゲーミンググレードの湾曲モニターをFPSのプレイで使ってみたい」という好奇心で購入したモニターではありますが、目的は果たせなかったものの、副次的な満足度は高かったと考えています。
ただし、最初からFPSのに使わないという用途で選ぶのであれば34インチのゲーミングモニターを選択していただろうなと思ってしまうのも事実なんですよね。(144Hz以上のモデル)
やはりFPSは240Hzのモニター(しかもDyac搭載機)を一度経験してしまうと、他では満足できなくなってしまうんですね~。
結局、モニター選びはデスクのスペースや用途に合わせて適切なモニター選ぶのがベストです。
ゲームや普段使いで使いやすく、コスパの良い27インチWQHD解像度の湾曲パネルモニターが欲しいなら、G27QCはベストバイの一つでは有ると思います。
良いところ
- 27インチWQHDは作業領域が広く快適
- 上・左・右のベゼルが薄く、見栄えが良い
- ディスプレイ前方にボタンが無いので画面に集中できる
- 発色はTNやIPSより好み。
- VESAマウント対応
- 27インチ、QWHD、湾曲、165Hz、応答速度1ms(MPRT)これだけ揃って4万は安い
- スティックによる操作は慣れが必要だが、設定の切り替えはしやすい
悪いところ
- PCにインストールする管理用ソフトウェアが致命的なバグで使用できない
- ベゼル付近は光漏れがある
- モニター付属のスピーカーは無いよりはマシ程度
- 黒色補間機能であるエイムスタビライザーは使い物にならない(輝度が下がりすぎる)
今回はGIGABYTE G27QCのレビューをしてみました。気になったという方は、商品リンクから購入していただけると嬉しいです。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
▼今回レビューした「GIGABYTE G27QC」